AI 成熟度レベルは、サイバーエージェント で定義された、プロダクト開発チームの AI 成熟度を評価するための社内モデルである。Spec駆動開発におけるコンテキストエンジニアリングとCustom Slash Commandsのベストプラクティス の説明によれば、このモデルは AI エージェントがどれだけ広い範囲の作業を担うか、そして人間と AI の責任の境界がどう移るかを、コード補完(L1)から開発プロセス全体の自動化(L4)までのレベルで記述する。要件策定から本番環境への展開までの完全自動化を目指して96プロダクトのAI活用力を強化した話|プロダクトのキーパーソン向け施策『AIナレッジ共有会』 が報じるところでは、同社の中期目標は、プロダクト開発チームが 2028 年までにレベル 4 に到達すること、すなわち要件定義から本番環境へのデプロイまでの開発プロセスが完全に自動化された状態になることである。
用法
前者の記事は、各レベルを次のように説明している。
- L1、Code-level Completion — IDE でのインライン補完で、構文や数行のロジックに限られる。人間が主導し、AI は入力を補助する。自律的なエージェントの振る舞いは伴わず、コードはすべて人間が書く。
- L2、IDE with Chat — チャットインターフェースを通じた対話的なコード生成で、関数、クラス、ユニットテストを生成する。人間はそのたびにファイルを選んで貼り付け、コンテキストを与えなければならない。事前の準備は不要だが、出力の品質は各エンジニアのプロンプトのスキルに左右されるため再現が難しく、人間が指示を出し続けるので作業は逐次的になる。
- L3、Ticket to PR — GitHub の issue のようなチケットを起点に AI エージェントが動き、プルリクエストまで作業を進めるため、実装を人間の作業と並行して非同期に進められる。ただし関連するコンテキストは依然として人間が手作業で集めて添付しており、記事によればそれはコストが高く、ノイズや漏れが生じやすく、自分でコードを書いたほうが速いと思えてしまうこともある。
- L4、PRD to Production — 仕様から実装、デプロイまで、プロダクトマネージャーやデザイナーの作業も含めた開発プロセス全体の自動化。その決定的な特徴は、コンテキスト設計とプロンプトエンジニアリングが — たとえばカスタムスラッシュコマンドによって — 事前に体系化されており、誰がプロセスを実行しても一貫した高品質なコンテキストが与えられる点にある。人間はコマンドを設計・改善し、生成された仕様や成果物の品質を管理し、開発プロセスそのものをエンジニアリングする。そのコストは、基盤を構築するための初期投資である。
同記事はこのモデルを使って、L4 に到達するには仕様駆動開発への移行が必要であり、L3 に残るボトルネック — コンテキスト設計 — こそが L4 で取り除かれるものだと論じている。
2 つの記述は、このモデルの範囲について食い違っている。後者の記事はこの尺度を 5 段階のレベルからなるものとして説明し、レベル 4 を 2028 年の目標とし、この目標が 2025 年に社内で発表されたと述べている。一方、前者は L1 から L4 までしか挙げておらず、L4 をプロセス全体の自動化として扱っている。