サイバーエージェントは、この wiki ではツールのベンダーとしてではなく、AI 駆動開発の実践を採り入れている企業として登場する。ここで参照できる 2 つの記述はいずれも社内からのもの、すなわち同社の開発者ブログへの投稿であり、1 本はエンジニアによるもの、もう 1 本は技術担当の役員によるものである。したがって、そこから言えるのは組織が自らをどう説明しているかであって、外部からの評価ではない。
エンジニアの投稿は、組織レベルの事実を 3 つ述べている。同社には職種を問わず AI 活用を推進する文化があるとされる。開発エージェントの導入への年間投資額は 4 億円とされている。そして、社内の AI 利用状況は全社に可視化されており、具体的にはツール利用量のランキングとして示されている。この投稿の著者は、Claude Code の利用量で全社 2 位になったと報告しつつ、母数は伏せられていたと付記している。
同社が掲げる方向性は、技術担当の執行役員が 2028年「開発プロセス完全自動化」を見据えた、エンジニア組織の構造改革 で示している。2025 年 10 月の社内イベントで、同社は 2028 年までに開発プロセスの完全自動化(AI 成熟度レベル 4 に相当)を目指すというビジョンを採択した。この投稿はそれを、省力化のための自動化としてではなく、エンジニアと AI エージェントが協働して開発を再発明するものとして位置づけている。
背景
エンジニアの投稿は、同社の AI 事業本部の協業リテールメディア div. の立場から書かれている。この部署は、小売企業の自社アプリ向けのリワード型広告サービスを開発・運用しており、その狙いは顧客が商品を理解したうえで購買に至るよう導くことだとされる。
このサービスは、広告配信サーバー、各小売企業のブランドに合わせたアプリ内 Web ビュー、アプリに組み込むための SDK、広告を入稿するための管理画面、そして配信実績と小売の POS データを対象とする分析基盤にまたがると説明されている。著者は、こうした広がりこそが、小売のドメイン知識に加えてバックエンド、フロントエンド、ネイティブ、データサイエンスのスキルが求められる理由だとしており、導入先の小売企業としてサッポロドラッグストアーとヤマダデンキを挙げている。
この投稿は、その実践が対応しようとした組織的な状況も示している。サービスはエンジニア 6 人とビジネス職 3 人で立ち上げられたが、執筆時点ではエンジニア 2 人とビジネス職 1 人で運営されており、それに見合うだけ広告キャンペーンや施策の量が減ったわけではなかった。
活動
役員の投稿 2028年「開発プロセス完全自動化」を見据えた、エンジニア組織の構造改革 は、同社がこのビジョンに付随して講じる組織的な施策についても述べている。エンジニア評価制度である JB Career Program は、2019 年以来初めて全面的に刷新され、4 つのキャリアラダーを軸とする。刷新されたテックリードエンジニアのトラック、ビジネス課題の発見から実装・運用までを担う新設のビジネスリードエンジニア、25 の注力領域を定めた強化版のスペシャリストトラック、そしてエンジニアリングマネージャーである。さらに、若手エンジニアの育成強化、エンジニアリングの質と技術的な成熟度で評価するエンジニア専用の AI ランキング、そしてエンジニアと AI エージェントが協働する自律的な開発体制を全社で支援するために 2025 年 8 月に設置された AI Driven 推進室も挙げている。
サイバーエージェントの開発者ブログをもとに書かれた、この wiki のページは次のとおり。